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流れはじめた那須疏水
岩崎隧道を潜り抜けて,岩崎村をゆったりと流れ始めた疏水。
両岸には桜が植えられていて春にはのどかな情景が楽しめそう。。 |
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疏水橋
国重要文化財 2006(平18)7.5指定
1905(明38)年取入口変更工事にあわせて,当時としては大変豪華な永久橋として架け替えられたもの。
めがね橋とも呼ばれ,那須温泉と塩原温泉を結ぶ道路としてコンクリートで拡幅された。
1995(平7)年下流部に新しい橋が架けられたことを機に,コンクリート部分を削って原型に近い形で復元された。
石造単一アーチ橋 幅3.2m 長さ13.1m |
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開拓地を流れる那須疏水
現在の水路はコンクリートで固められていて,風情がない。だが,その流量は毎秒5~6トンは優にあるだろう,滔々と流れている様には感動を覚える。
開削当時はどんな断面になっていたのだろうか?浸透の激しい砂利地盤にどんな止水工法を用いたのか興味がある。文献資料に石積みの図面を見る事ができるが,石積みだけではかなりの漏水量となるはず,モルタルまたは粘土目地を施しているのかもしれない。それにしてもおよそ16kmの幹線をわずか5ヶ月で開削したという驚異的な工事である。
当時の農民達の水にかける意気込みが伝わってくる。 |
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熊川サイフォン入り口
取入口よりおよそ9.5km地点の”熊川伏越(サイフォン)”は,幅数十mの熊川の下をサイフォン式のトンネルで通過している。
開通当時の長さは25間余(約46m),総合開発によって改修されている。 |
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蛇尾(さび)川の水無し河原
扇状地那須野ヶ原中央を伏流水として流れる水無川であり,、大雨の時以外はその河原に水は無い。
那須塩原市の大佐飛山等を水源とする河川で,蟇沼付近より上流では水流があり,蛇尾川ダム,八汐ダムを利用した揚水発電所(東京電力)が運転されている。
那須疏水は,この蛇尾川をサイフォンで通過している。左岸側のサイフォン口を見つけることは出来なかった。
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旧サイフォン出口の復元
蛇尾川右岸(疏水としては下流側)に,”田園博物館”と称した小公園がつくられ,明治時代の旧サイフォンが復元保存されている。
サイフォンは,河原の石を取り除き石積みトンネルを造ってからまた河原の石を被せて埋め戻して造られた。
使用石材は,百村石,五角形の石積みは,四方留(しほうとめ)と呼ばれ,底面を張石とし,両張り石垣を築き天井を合掌石で留めている。サイフォンの大きさは幅が4尺5寸(約136cm),高さが5尺5寸(約167cm),延長146.7間(約267m)。
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現在の蛇尾川サイフォン出口
ここで,サイフォン出口を見ることができる。サイフォン工法は江戸時代初期から使われていると言う。
大気圧を使った素晴らしいアイデアである,湧き上がる力強い水の勢いにしばし圧倒される。 |
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段差工
那須疏水は斜面を流れ下るような構造にはなっていない。要所要所にこのような堤と段差を設けて,流速があまり大きくならないようように工夫してある。
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千本松浄水場
那須疏水は,田畑の灌漑用ばかりでなく,那須塩原市,大田原市,矢板市の飲用水道源になっているようである。
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第三分水&第四分水
西那須野から塩原へ向かう国道400号線の手前で,那須疏水は第三分水と第四分水に分かれる。ということは,那須疏水の本管水路はここまでということになる。千本松牧場のすぐ南側で,疏水に沿って遊歩道が設けられていて,ゆっくり歩けばもっと楽しい出会いがありそうである。
左の写真:小さい方のゲートが第三分水。
現在の近代的な施設(ゲートの上げ下げは電動)は,総合開発によって1979(昭54)3月に完成したもの。
改修前の状況を下に示す,なんとも心がゆったりしてくるような情景である。(参考文献より)
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